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2018-11-24|第27回一橋哲学フォーラム/第7回スピノザ・コネクション/ Der 82. Workshop der Japanisch-Deutschen Gesellschaft für angewandte Ethik in Kooperation mit dem Kakenhi-Projekt (Nr.18H05218)

2018年11月24日に、一橋大学第三研究館共用会議室にて第27回一橋哲学フォーラムが開催された。これは第回7スピノザコネクションも兼ねており、カントの政治学からヤコービのスピノザ解釈に至るまで、様々な議論が活発に交わされた。

加藤泰史先生(一橋大学)のイントロダクションから始まり、まず最初に網谷壮介先生(立教大学)の「カントの共和制の理念と文脈」と題された発表が行われた。 これは網谷先生ご自身の著作『共和制の理念』の概要に関するものだった。網谷先生の発表後、それを受けて木場智之(一橋大学社会学研究科在学)および斎藤拓也先生(北海道大学)からのコメントが順に提出された。それぞれのコメンテーターは、カントの政治哲学という広い研究領領域の中に、網谷先生の研究を各々の読解を踏まえて位置づけ、実りある議論を展開した。 休憩を挟み、笠原賢介先生(法政大学)による、「ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界——主題設定の背景と残された課題」と題された発表が行われた。この発表は、笠原先生の著作『ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界』をもとにしたものであり、その後の吉田量彦先生(東京国際大学)および平尾昌宏先生(立命館大学)の発表も併せて合評会という性格を持ったものだった。
その後、「ヤコービ―特権を与えられた異端者―」という題目で田中光先生(日本大学)による最後の発表が行われた。この発表は田中先生が翻訳したヤコービ『スピノザの学説に関する書簡』について、原書が執筆された当時の背景はもちろん、ヤコービその人自身についての解説も踏まえながら掘り下げていくものだった。その後、佐山圭司先生(北海道教育大学)および上野修先生(大阪大学)からのコメントがあり、また続く質疑応答においても非常に多くの手が挙がり、ヤコービやスピノザに関する鋭い質問が飛び交った。 午前10時から午後7時までの長丁場ではあったが、途中で失速することなく、発表者やコメンテーターの方々はもちろん、参加者たちも積極的に参加する、意義深いシンポジウムだった。

  
第7回スピノザコネクション

当日の様子

管理番号:20181124

当日のプログラム

10:00〜10:10 加藤泰史(一橋大学)「スピノザ・コネクション再開」
10:10〜12:30 網谷壮介(立教大学)「カントの共和制の理念と文脈」

コメンテーター:
木場智之(一橋大学)「『共和制の理念』に寄せて」
齋藤拓也(北海道大学)「網谷壮介著『共和制の理念』へのコメント」
12:30〜13:30 休憩
13:30〜16:00 笠原賢介(法政大学)「ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界——主題設定の背景と残された課題」

コメンテーター:
山口祐弘(東京理科大学)「啓蒙の黄昏と残映」
吉田量彦(東京国際大学)「世界市民的社交性と異文化理解-『ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界』によせて」
平尾昌宏(立命館大学)「啓蒙と場所と歴史——笠原賢介『ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ』について」
16:00〜16:10 休憩
16:10〜19:00 田中光(日本大学)「ヤコービ―特権を与えられた異端者―」

コメンテーター:
上野修(大阪大学)「ヤコービのスピノザ論」
佐山圭司(北海道教育大学)「誰がレッシングの「正当」な継承者たりうるか?――レッシングの遺産をめぐる「相続争い」としてのスピノザ論争」
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